取適法の明示・遅延利息・書類の保存と罰則

確認日 2026-10-25

  • 取適法は、委託事業者が製造委託等をしたときに、給付の内容・代金の額・支払期日・支払方法などを、直ちに書面または電磁的方法で明示するよう定めています(第4条第1項)。
  • 明示すべき事項を明示しなかったとき、書面を交付しなかったとき、書類を作成・保存しなかったときは、違反行為をした委託事業者の代表者や従業者が「五十万円以下の罰金」に処せられると、第14条が定めています。第16条は、法人にも同じ刑を科すと定めています。

発注時の明示(第4条第1項)

委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、直ちに、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付の内容、製造委託等代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を、書面又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて公正取引委員会規則で定めるものをいう。以下この条において同じ。)により中小受託事業者に対し明示しなければならない。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第4条第1項(中小受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等)

第4条第2項は、電磁的方法で明示した場合に、中小受託事業者から書面の交付を求められたときは、遅滞なく書面を交付するよう定めています(公正取引委員会規則で定める場合を除く)。明示の具体的な事項と方法は、公正取引委員会規則で定められており、このサイトでは読んでいません。

遅延利息(第6条第1項)

委託事業者は、製造委託等代金の支払期日までに製造委託等代金を支払わなかつたときは、中小受託事業者に対し、中小受託事業者の給付を受領した日から起算して六十日を経過した日から支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に公正取引委員会規則で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第6条第1項(遅延利息)

利率は「公正取引委員会規則で定める率」とされ、このサイトでは確認していません。第6条第2項は、代金を減じた場合の遅延利息を定めています。

書類の作成・保存(第7条)

委託事業者は、中小受託事業者に対し製造委託等をした場合は、公正取引委員会規則で定めるところにより、中小受託事業者の給付、給付の受領(役務提供委託又は特定運送委託をした場合にあつては、中小受託事業者から役務の提供を受けたこと)、製造委託等代金の支払その他の事項について記載し又は記録した書類又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第十四条第三号において同じ。)を作成し、これを保存しなければならない。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第7条(書類等の作成及び保存)

公正取引委員会規則: 明示の事項・遅延利息の率・書類の保存期間

法の規定を受けて、公正取引委員会規則が定められています(令和七年公正取引委員会規則第八号〜第十号、施行 令和八年一月一日)。条文の文言のまま載せます。

明示すべき事項(第四条の明示に関する規則 第1条第1項)

  • 一 委託事業者及び中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって委託事業者及び中小受託事業者を識別できるもの
  • 二 製造委託等をした日、中小受託事業者の給付(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、提供される役務。以下同じ。)の内容並びにその給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受ける期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間))及び場所
  • 三 中小受託事業者の給付の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期日
  • 四 製造委託等代金の額及び支払期日
  • 五 製造委託等代金の全部又は一部の支払につき、委託事業者、中小受託事業者及び金融機関の間の約定に基づき、中小受託事業者が債権譲渡担保方式(中小受託事業者が、製造委託等代金の額に相当する額の代金債権を担保として、金融機関から当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭の貸付けを受ける方式をいう。)又はファクタリング方式(中小受託事業者が、製造委託等代金の額に相当する額の代金債権を金融機関に譲渡することにより、当該金融機関から当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭の支払を受ける方式をいう。)若しくは併存的債務引受方式(中小受託事業者が、製造委託等代金の額に相当する額の代金債務を委託事業者と共に負った金融機関から、当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭の支払を受ける方式をいう。)により金融機関から当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭の貸付け又は支払を受けることができることとする場合は、次に掲げる事項(イ 当該金融機関の名称、ロ 当該金融機関から貸付け又は支払を受けることができることとする額及びその期間の始期、ハ 当該代金債権又は当該代金債務の額に相当する額の金銭を当該金融機関に支払う期日)
  • 六 製造委託等代金の全部又は一部の支払につき、委託事業者及び中小受託事業者が電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権の発生記録又は譲渡記録をする場合は、次に掲げる事項(イ 当該電子記録債権の額及び中小受託事業者が製造委託等代金の支払を受けることができることとする期間の始期、ロ 電子記録債権法第十六条第一項第二号に規定する当該電子記録債権の支払期日)
  • 七 製造委託等に関し原材料等を委託事業者から購入させる場合は、その品名、数量、対価及び引渡しの期日並びにその決済の期日及び方法
  • 八 法第四条第一項ただし書の規定により前各号に掲げる事項のうち明示しないもの(以下「未定事項」という。)がある場合は、当該未定事項の内容が定められない理由及び当該未定事項の内容を定めることとなる予定期日

第1条第1項の第五号〜第八号は、金融機関を通じた支払い、電子記録債権、原材料等の購入、未定事項に関する事項です。e-Gov法令検索「第四条の明示に関する規則」。

電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)を送信する方法

e-Gov法令検索「第四条の明示に関する規則」 第2条第1項第1号(電磁的方法)

明示の例外・特例(第四条の明示に関する規則)

代金の額を具体的に示せない場合、一定期間共通の事項、電磁的方法で明示したときに書面の交付を要しない場合(法第4条第2項ただし書)について、規則は次のように定めています。

前項第四号の製造委託等代金の額について、具体的な金額の明示をすることが困難なやむを得ない事情がある場合には、製造委託等代金の具体的な金額を定めることとなる算定方法の明示をすることをもって足りる。

e-Gov法令検索「第四条の明示に関する規則」 第1条第2項

第一項各号に掲げる事項が一定期間における製造委託等について共通であるものとして、あらかじめその旨を書面の交付又は電磁的方法による提供により明示したときは、その期間内における製造委託等に係る当該事項の明示は、あらかじめ明示したところによる旨を明示することをもって足りる。

e-Gov法令検索「第四条の明示に関する規則」 第1条第3項

中小受託事業者から法第四条第一項の規定による明示について当該電磁的方法による提供を希望する旨の申出(書面又は電磁的方法によるものに限る。)があった場合。ただし、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該明示を受けた事項をその使用に係る電子計算機の映像面に表示して閲覧することができない場合を除く。

e-Gov法令検索「第四条の明示に関する規則」 第4条第1項第1号(法第4条第2項ただし書の公正取引委員会規則で定める場合)

遅延利息の率(第六条第一項及び第二項の率を定める規則)

製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律第六条第一項及び第二項の公正取引委員会規則で定める率は、年十四・六パーセントとする。

e-Gov法令検索「第六条第一項及び第二項の率を定める規則」

書類の保存期間(第七条の書類等の作成及び保存に関する規則)

書類等は、その記載又は記録をすべき事項の全部の記載又は記録をした日から二年間、保存しなければならない。

e-Gov法令検索「第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」 第3条

作成する書類には、第1条第1項で、たとえば次の事項を明確に記載し又は記録しなければならないと定められています(第一号)。

中小受託事業者の商号、名称又は事業者別に付された番号、記号その他の符号であって中小受託事業者を識別できるもの

e-Gov法令検索「第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」 第1条第1項第1号

第1条第1項は、全部で13の号の事項を書類等に記載することを求めています。ほかに、次の号があります(第七号〜第十一号は、金銭以外の支払手段・金融機関を通じた支払い・電子記録債権・原材料等の購入・代金の残額に関する事項で、ここでは載せていません)。

  • 二 製造委託等をした日、中小受託事業者の給付(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、提供される役務。以下同じ。)の内容及びその給付を受領する期日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受ける期日(期間を定めて提供を委託するものにあっては、当該期間))並びにその受領した給付の内容及びその給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日(期間を定めて提供を受けたものにあっては、当該期間))
  • 三 中小受託事業者の給付の内容について検査をした場合は、その検査を完了した日、その検査の結果及びその検査に合格しなかった給付の取扱い
  • 四 中小受託事業者の給付の内容を変更させ、又はその給付の受領後(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあっては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた後)に給付をやり直させた場合には、その内容及びその理由
  • 五 製造委託等代金の額及び支払期日並びにその額に変更があった場合は増減額及びその理由
  • 六 製造委託等代金の支払について金銭を使用した場合は、その支払額、支払日及び支払方法
  • 十二 遅延利息を支払った場合は、その支払った額及び支払った日
  • 十三 法第四条第一項ただし書の規定により明示しないこととした事項がある場合には、当該事項の内容が定められなかった理由、当該事項の内容を明示した日及びその内容

前条第一項及び第二項に規定する事項の記載又は記録は、それぞれその事項に係る事実が生じ、又は明らかになったときに、速やかに当該事項について行わなければならない。

e-Gov法令検索「第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」 第2条第1項(記載・記録の時期)

前条第一項及び第二項に規定する事項を書類に記載する場合には、中小受託事業者別に記載しなければならない。

e-Gov法令検索「第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」 第2条第2項(書類への記載の方法)

電磁的記録に記録する場合の要件は、第2条第3項に定められています。

前条第一項及び第二項に規定する事項を電磁的記録に記録する場合には、次に掲げる要件を満たさなければならない。

e-Gov法令検索「第七条の書類等の作成及び保存に関する規則」 第2条第3項
  • 一 前条第一項及び第二項に規定する事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること。
  • 二 必要に応じ、電磁的記録に記録された事項を電子計算機の映像面に表示し、及び当該事項を書面に出力することができること。
  • 三 電磁的記録に記録された事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を有していること。(イ・ロの要件は、ここでは載せていません)

中小企業庁長官の請求・公正取引委員会の勧告(第9条・第10条)

中小企業庁長官は、委託事業者について第五条の規定に違反する事実があるかどうかを調査し、その事実があると認めるときは、公正取引委員会に対し、この法律の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第9条(中小企業庁長官の請求)

第10条は「勧告」を定め、公正取引委員会が、第5条の規定に違反する行為があると認めるときに、委託事業者に必要な措置をとるべきことを勧告するとしています。勧告の内容の例として、条文は次を挙げています。

公正取引委員会は、第五条の規定に違反する行為があると認めるときは、当該行為をした委託事業者(委託事業者が合併により消滅した場合にあつては合併後存続し、又は合併により設立された法人、委託事業者の分割により当該行為に係る事業の全部又は一部の承継があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を承継した法人、委託事業者の当該行為に係る事業の全部又は一部の譲渡があつた場合にあつては当該事業の全部又は一部を譲り受けた事業者。次項及び次条において「違反委託事業者」という。)に対し、速やかにその中小受託事業者の給付を受領し、その製造委託等代金若しくはその減じた額若しくは第六条の規定による遅延利息を支払い、その給付に係る物を再び引き取り、その製造委託等代金の額を引き上げ、若しくはその購入させた物を引き取るべきこと若しくはその不利益な取扱いをやめるべきこと又はその中小受託事業者の利益を保護するための措置をとるべきことその他必要な措置をとるべきことを勧告するものとする。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第10条第1項(勧告)

公正取引委員会は、第五条の規定に違反する行為が既になくなつている場合においても、特に必要があると認めるときは、違反委託事業者に対し、当該行為が既になくなつている旨の周知措置その他当該行為が排除されたことを確保するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第10条第2項(既になくなつている場合の勧告)

私的独占禁止法との関係・報告と立入検査・情報提供(第11条〜第13条)

公正取引委員会が勧告をし、委託事業者がそれに従ったときは、その行為に私的独占禁止法の一部の規定は適用されない、と第11条が定めています。第12条は報告と立入検査、第13条は行政機関どうしの情報提供を定めています。

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二十条及び第二十条の六の規定は、公正取引委員会が前条の規定による勧告をした場合において、違反委託事業者が当該勧告に従つたときに限り、当該勧告に係る行為については、適用しない。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第11条(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律との関係)

中小企業庁長官は、中小受託事業者の利益を保護するため特に必要があると認めるときは、委託事業者若しくは中小受託事業者に対し、その委託事業者の中小受託事業者に対する製造委託等に関する取引に関する報告をさせ、又はその職員に委託事業者若しくは中小受託事業者の事務所若しくは事業所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第12条第2項(中小企業庁長官の報告徴収・立入検査)

第一項から第三項までの規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第12条第5項

公正取引委員会は、この法律の施行に必要な限度で、関係行政機関の長に対し、委託事業者又は中小受託事業者に関する情報の提供その他必要な協力を求めることができる。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第13条第2項(公正取引委員会による情報提供の求め)

罰則(第14条〜第16条)

次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした委託事業者の代表者、代理人、使用人その他の従業者は、五十万円以下の罰金に処する。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第14条(罰則)
  • 第四条第一項の規定に違反して明示すべき事項を明示しなかつたとき。
  • 第四条第二項の規定に違反して書面を交付しなかつたとき。
  • 第七条の規定に違反して、書類若しくは電磁的記録を作成せず、若しくは保存せず、又は虚偽の書類若しくは電磁的記録を作成したとき。

第十二条第一項から第三項までの規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したときは、その違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第15条(報告・検査の拒否等)

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第16条

このページで確認していないこと

個別の取引が取適法の対象か、どの規定に当たるかは、このサイトでは判断しません。

判断が必要なときは、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口に確認してください。

  • 公正取引委員会規則のうち、明示の規則の第3条と第4条第1項第2号・第3号、書類等の規則の第1条第1項第7号〜第11号とその細目、第2条第3項第3号の検索機能の細目は、載せていません。第12条第1項・第3項・第4項と第13条第1項は、引用していません。
  • 第5条の禁止行為は、取適法の区分のページに載せています。