- 下請法は2026年1月1日から、正式名称を「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(通称、取適法)に改め、施行されています。
- 情報成果物作成委託と役務提供委託が対象になるかは、委託事業者と中小受託事業者の資本金(または従業員数)の組み合わせで決まります。資本金3億円超の委託事業者が委託する場合は、政令で定める情報成果物(プログラム)と役務(運送・物品の倉庫における保管・情報処理)に限られます。
- 公正取引委員会の資料は、役務提供委託の「役務」を、委託事業者が他者に提供する役務とし、自ら利用する役務(自家利用役務)は含まれないと説明しています。
委託事業者の区分(法第2条第8項)
条文(第2条第8項)の各号を、表に並べ直したものです。表は要点で、除外の規定(政府契約の支払遅延防止等に関する法律第14条に規定する者など)は条文で確認してください。
| 号 | 委託事業者 | 中小受託事業者 | 対象となる委託 |
|---|---|---|---|
| 第1号 | 資本金または出資の総額が3億円を超える法人 | 個人、または資本金・出資の総額が3億円以下の法人 | 製造委託等(情報成果物作成委託・役務提供委託は、政令で定める情報成果物・役務に係るものに限る) |
| 第2号 | 資本金・出資の総額が1千万円を超え3億円以下の法人 | 個人、または資本金・出資の総額が1千万円以下の法人 | 製造委託等(同上の限定) |
| 第3号 | 資本金・出資の総額が5千万円を超える法人 | 個人、または資本金・出資の総額が5千万円以下の法人 | 情報成果物作成委託・役務提供委託(第1号の政令で定めるものを除く) |
| 第4号 | 資本金・出資の総額が1千万円を超え5千万円以下の法人 | 個人、または資本金・出資の総額が1千万円以下の法人 | 情報成果物作成委託・役務提供委託(同上) |
| 第5号 | 常時使用する従業員が300人を超える法人 | 従業員300人以下の個人・法人 | 製造委託等(第1号・第2号に該当する場合を除く) |
| 第6号 | 常時使用する従業員が100人を超える法人 | 従業員100人以下の個人・法人 | 情報成果物作成委託・役務提供委託(第3号・第4号に該当する場合を除く) |
出典: e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第2条(確認日 2026-10-24、施行 2026-01-01)。
政令が定める情報成果物と役務
第1号・第2号の限定にいう「政令で定める情報成果物・役務」は、次の政令で定められています。
(法律名)第二条第八項第一号の政令で定める情報成果物はプログラムとし、同号の政令で定める役務は次に掲げるものとする。一 運送 二 物品の倉庫における保管 三 情報処理
e-Gov法令検索「同法第二条第八項第一号の情報成果物及び役務を定める政令」(法律名は省略)
政令の「情報処理」の範囲は、この政令の本文には書かれていません。データ整備の外注がここに含まれるかは、このサイトでは判断しません。
対象となる委託事業者が守ること(第3条第1項・第5条)
委託が対象となる場合に、委託事業者に課される規定の一部です。条文の文言のまま載せます。対象になるかは、上の区分で決まります。
製造委託等代金の支払期日は、委託事業者が中小受託事業者の給付の内容について検査をするかどうかを問わず、委託事業者が中小受託事業者の給付を受領した日(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた日。以下同じ。)から起算して、六十日の期間内において、かつ、できる限り短い期間内において、定められなければならない。
e-Gov法令検索「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」 第3条第1項(製造委託等代金の支払期日)
第5条第1項は「委託事業者の遵守事項」として、次の行為をしてはならないと定めています(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、第一号及び第四号を除く)。
- 一 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の受領を拒むこと。
- 二 製造委託等代金をその支払期日の経過後なお支払わないこと(当該製造委託等代金の支払について、手形を交付すること並びに金銭及び手形以外の支払手段であつて当該製造委託等代金の支払期日までに当該製造委託等代金の額に相当する額の金銭と引き換えることが困難であるものを使用することを含む。)。
- 三 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、製造委託等代金の額を減ずること。
- 四 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付を受領した後、中小受託事業者にその給付に係る物を引き取らせること。
- 五 中小受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対し通常支払われる対価に比し著しく低い製造委託等代金の額を不当に定めること。
- 六 中小受託事業者の給付の内容を均質にし又はその改善を図るため必要がある場合その他正当な理由がある場合を除き、自己の指定する物を強制して購入させ、又は役務を強制して利用させること。
- 七 委託事業者についてこの条の規定に違反する事実があると認められる場合に中小受託事業者が公正取引委員会、中小企業庁長官又はその製造委託等に関する取引に係る事業を所管する大臣に対しその事実を知らせたことを理由として、取引の数量を減じ、取引を停止し、その他不利益な取扱いをすること。
第5条第2項は、第1項の行為に当たらなくても、次の行為をすることによって中小受託事業者の利益を不当に害してはならないと定めています(役務提供委託又は特定運送委託の場合は、第一号を除く)。
- 一 自己に対する給付に必要な半製品、部品、附属品又は原材料(以下この号において「原材料等」という。)を自己から購入させた場合に、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、当該原材料等を用いる給付に対する製造委託等代金の支払期日より早い時期に、支払うべき製造委託等代金の額から当該原材料等の対価の全部若しくは一部を控除し、又は当該原材料等の対価の全部若しくは一部を支払わせること。
- 二 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
- 三 中小受託事業者の責めに帰すべき理由がないのに、中小受託事業者の給付の内容を変更させ、又は中小受託事業者の給付を受領した後(役務提供委託又は特定運送委託の場合にあつては、中小受託事業者からその委託に係る役務の提供を受けた後)に給付をやり直させること。
- 四 中小受託事業者の給付に関する費用の変動その他の事情が生じた場合において、中小受託事業者が製造委託等代金の額に関する協議を求めたにもかかわらず、当該協議に応じず、又は当該協議において中小受託事業者の求めた事項について必要な説明若しくは情報の提供をせず、一方的に製造委託等代金の額を決定すること。
第5条の条文は第2項までです。書面の明示、遅延利息、書類の保存、違反した場合の勧告・罰則は、明示・遅延利息・書類の保存と罰則のページに載せています。
公正取引委員会の資料にある説明
公正取引委員会の説明資料(公正取引委員会「2026年1月施行! 下請法は取適法へ」、13〜14頁)には、次の説明があります。
- 情報成果物は、プログラム/映画・放送番組など影像・音声・音響で構成されるもの/文字・図形・記号またはこれらの結合で構成されるもの(例: 設計図、ポスターのデザイン)。物品の附属品(例: 取扱説明書の内容)なども含まれる。
- 情報成果物作成委託が対象になる取引は3つの類型。(1) 事業者が事業者・一般消費者等に提供する情報成果物の作成を委託する場合、(2) 発注元から請け負った情報成果物の作成を再委託する場合、(3) 自社が業として作成している自家使用の情報成果物の作成を委託する場合。
- 役務提供委託として規制される役務は、委託事業者が他者に提供する役務。委託事業者が自ら利用する役務(自家利用役務)は含まれない。自家利用役務の例は、自社工場の清掃業務を清掃業者へ委託する場合、社内研修を外部講師へ委託する場合。
このページで確認していないこと
個別の委託が取適法の対象かどうかは、資本金・従業員数、委託の類型、委託の内容で変わります。このサイトでは当てはめを行いません。
判断が必要なときは、公正取引委員会・中小企業庁の相談窓口、または弁護士に確認してください。
- 第2条の第8項以外(第1項から第7項、第9項以降)の定義と、第3条第1項・第5条以外の義務・禁止事項は、明示・罰則のページに載せたもの以外は読んでいません。
- 政令の「情報処理」の具体的な範囲を示す資料(運用基準など)は読んでいません。
よくある質問
下請法は、なくなったのですか。
法律の名称が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に改められ、通称は取適法です。e-Govの現行の法令名と、公正取引委員会の資料(2026年1月施行)で確認できます。
自社のデータの整備を外注する場合も対象ですか。
公正取引委員会の資料は、役務提供委託の役務を「委託事業者が他者に提供する役務」とし、自ら利用する役務は含まれないと説明しています。情報成果物作成委託については、自家使用の情報成果物でも、自社が業として作成している場合は類型の1つに挙げています。個別の当てはめは行いません。